うめたび!

風の向くまま、気の向くまま、旅をするにはまだまだ経験も修行も足りませんが、楽しんで旅をする様子を綴ります。

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「いらすとや」が1月で定期更新を停止/偉大なるイラストレーターへの賛辞

こんばんは、うめたびです。

 

またまたYahoo!ニュースで気になる記事を見つけてしまいました。

 

news.yahoo.co.jp

 

「いらすとや」って、インターネットをやる人なら必ず見たことがあるんじゃないかって位、有名なフリー素材サイトです。

可愛いほのぼのした雰囲気で、いろいろ使い勝手のいいイラストが多数あるので、ブログやYouTubeでたくさん使用されています。

 

てか、「またこのイラストかよ」ってくらい、「いらすとや」さんテイストの絵しか見たことがないくらいでした。

 

私は、「いらすとや」さんの絵って便利だし可愛いし好きではあったのですが、あまりにもネット上でみんなが使っているものだから、みんなが使っているものを使いたくないという意味不明なあまのじゃく精神で利用させてもらわないできてしまったのですが・・・(イラストそのものは凄く好きです!!!!)

 

今さらながら、いらすとやさんて凄いんだなと思いました。

定期更新をやめるということが、Yahoo!ニュースのトップにあがるくらい、人気があって世間に認知されているという事もですが、

2012年からほぼ毎日、サイトというかイラストを更新してきているという事。

 

毎日サイト更新し続けるって、どえらい事ですよ。

体力もだしモチベーションもだしイラストのネタだって尽きることもあっただろうし、体調が悪い時、悲しい悔しいことがあった日、意味なく落ち込んだ日、楽しくて幸せな日・・・いろんな毎日の中で、サイト(イラスト)更新し続けてきた。

 

心から尊敬します。

 

実はこの定期更新をやめるというニュースを聞いて、初めていらすとやさんのサイトを覗いてみたのですが、ほんとにイラストのカテゴリーがすごくたくさんあることに驚きました。

 

ごく普通の「お母さん」「お父さん」「お姉さん」「お兄さん」のイラストから人気アニメのキャラクターから時事ネタまで多岐に渡り、どんなジャンルも網羅している。

 

試しに「職業」ってカテゴリーをポチっとしてみたら、トップに「オペラ歌手のイラスト(男性)」と「監督官のイラスト」が出て来たんです。さらに「刀削麺を造る人」なんて出て来たのでちょっと楽しくなってしまいました。

 

「職業」ひとつとっても、発想がちょっと予想の斜め上をいってるこのセンス、すごく好きだなと思いました。

 

それから、インドの「ナン」て知っている方もいらっしゃると思うんですが、インド料理屋でカレーとか注文したらついてくる細長い「パン」のことです。

いらすとやさんの検索サーチでナンって打ったら、ナンのイラストだけじゃなくて「カレーとナンのセット」の料理の絵が出てくるし、「インド人のおじさん」「ネパール人のおじさん」のイラストも出てくるんです。

 

それだけでも驚きなのに(大げさ?)、さらにインドには「チャパティ」といううすーいパンがあるのご存じでしょうか。話がそれますが、インドの「ナン」て高級レストランで観光客向けでしか食べられないくらい、インド人の一般家庭ではあまり作られません。

どちらかというと、「チャパティ」という薄いクレープのようなパンのほうがよく食べられているんです。でも、日本人でインドにあまり興味がなければ、そんなことまで分かりませんよね。

 

いらすとやさんには、「チャパティ」のイラストもちゃんとあるのです。しかもチャパティと検索したらば、南インド料理では有名な「バナナの葉っぱに小鉢やカレーやチャパティが並べられている」絵が、出てくるんです。

 

このきめ細かさ、まじ尊敬します。ただのフリーイラスト素材でここまでやってくれるところが、果たしてどれだけあるでしょうか。

 

いらすとやさんのこだわり、リアリティを大事にするところ、常人を楽しませてくれる斜め上なハイセンス・・・今さらながら偉大なイラストレーターさんなのだなと脱帽しました。

 

今後は不定期更新に運営スタイルを変更していくとの事ですが、ゆっくり休んで英気を養ってほしいと思います。これからの活躍を期待しています!

不器用に夢を追い続けることの是非/ジャニーズJr.活動22歳の年齢制限導入について

先日ジャニーズ事務所が、所属するジャニーズJrの活動について、制度を一部改定すると発表して話題になりましたね。

 

news.yahoo.co.jp

 

私自身、芸能界はまったく詳しくないし、そこまで興味もないのですが、それでもこのニュースは少しびっくりしました。

 

ジャニーズ事務所って、ほんとに昔から、私が子供の頃から存在してたくさんの人気アイドルを生み出してきた事務所です。

社会現象を巻き起こしたグループも、国民的人気を誇ったグループも、卓越した歌とダンスで魅了してきたグループも観て来ました。

 

そんなジャニーズ事務所にはCDデビューしていない「ジュニア」と呼ばれる子達がいて、中にはデビューしていないのにテレビで先輩グループのバックで踊ったりして人気を博す子がいると言うことも、芸能界に疎い私でさえ知っているくらい、認知度は高いものでした。

みんな芸能界、日本のショービジネスの歴史の一部となって活動していた訳です。

 

最近はその人数がどんどん増えていて、成人した年齢の子もいるそうですが、ここへきて突然「年齢制限」を導入したということがとても驚きでした。

 

記事をちゃんと読めば、22歳でデビュー出来ない子はもう終わり!というわけではなく、双方の合意のもと、今後の話し合いが行われるそうですし、現在22歳を超えている人については既に残留の合意に達しているという事ですね。

 

まったくの部外者の私が気になるのは、これから22歳を迎える子の気持ちです。そしてファンの人から「彼はどうなるの?」と名前も出ないようなまだ無名の子の事です。

 

確かに芸能界って甘い世界じゃない。努力してもデビューできて人気が出る人はほんの一握りで全員が売れっ子になれる訳じゃない。

 

いつまでも大手事務所で芽が出ないままくすぶっているより、22歳というまだまだ若いうちに将来の進路を考える機会を与えるのはすごく良心的だと思います。

最近はジャニーズjrの活動をしつつ大学へ通ったり資格をとったりする子も増えたと関連記事でも知りました。

自分を冷静に見つめ将来を見据えている子、それが出来る子はいいと思います。

 

でも中には、一途に「アイドルになる」「歌と踊りが好き」と夢だけを追いかけて努力を続けて、でも芽が出ない子がたくさんいるんだと思います。努力が報われない残酷なことがこの世にはあるのです。

「アイドルなんて無理かも知れない」と一抹の不安を感じることはあっても、そんな弱気を押しのけながら不器用に夢を追いかけている子に、引導を渡したらどうなるのか。

 

22歳ってとっくに成人しているけど、心はまだまだ不安定で弱いところもある。盲目的に夢を追っていたところ、いきなりその夢が破れたとしたら。

おおげさでなく、自分の人生を全否定されたような挫折を味わうことになります。

まだ22歳で絶望の底に叩きつけられ、心に深い傷を負ってどうやって立ち直る事が出来るのか。その理不尽な痛みをどこにぶつけたらいいのか。

どこにも行き場のない思いを抱えることになります。

 

周りの優しい人が手を差し伸べても、素直にその手を取れないかもしれない。人生はまだまだこれからだよなんて言葉が薄っぺらいまやかしの慰めとしか受け取れない。

 

 本当に傷ついた時って、周りの言葉を素直に聞き入れられないものです。でも、その傷を癒やすのは当人しかいない。立ち直るのに何年もかかる。一途に不器用に夢を追いかけてきた分、心にあいた穴も大きいわけです。

 

事務所がすべて悪いと責めるのは簡単ですがそれもどこか違う、結局人生は当人が自分で切り拓くしかない。

せめて良心ある人がそばで見守ってくれることを願います。夢破れたから人生が終わったわけでも、否定されたわけでもない。希望を見出してほしいと思います。

 

 

アガサ・クリスティ「予告殺人」※ネタバレなし

こんばんは。

今日はアガサ・クリスティ「予告殺人」について語ります。

 

 

 
 のどかな田舎町チッピング・クレグホーンの金曜日の朝。各家にローカル紙の《ギャゼット》が配られる。地元の退屈な記事ばかりの掲載されているこの新聞に、驚くべきことに「殺人予告」が掲載されていました。
 
 殺人が起こる場所は、ミス・ブラックロックというオールド・ミスが親戚や友人と共に暮らすお屋敷。新聞を読んだ町の人達は、退屈な日常に舞い込んだ催しに興味を引かれ、こぞって集まります。
 
 もちろん、誰もが本物の殺人が起こるなどとは思っていません。何かゲームが始まると思い楽しみにしていたところ、予告の時刻と共に部屋の灯りが消え、同時に銃声が響き渡ったのでした。
 
 この恐るべき殺人事件に挑むのが、我らがミス・マープルです。
 
 作中に、登場人物のひとりが、
「チッピング・クレグホーンてのはどんな所なんだい?」
と訊ねるシーンがあるのですが、それに対する返答が、
「ひろびろとした、絵のような村だよ。住宅地としても高級なところだ」
 
 この描写のとおり、チッピング・クレグホーンはのどかな田舎町で、退役軍人や独身の老婦人たちが余生を送るために移り住んでくるような所です。
 
 まず殺人とか強盗なんて血なまぐさい犯罪とは無縁そうなこの村でなぜ殺人が起きたのか?
 犯人の狙いは何なのか? そして殺人は一度で終わらず、二人、三人と犠牲者が増えていきます。
 
 本作の見所は「新聞広告にわざわざいつどこで殺人やりますとか普通言うかー?」という、クリスティならではのシチュエーションです。
 
 ただ、新聞を読んだ町の人は
「えー!ミス・ブラックロックのところで殺人やるって!」と驚きはしますが、 それは「今夜パーティーするからよかったら来てね。殺人ごっこもするよ!」という公開招待状という意味にしか捉えていないんですよね。
 イギリスというか、ヨーロッパではこういう新聞にパーティーの予告やるって、日常のことみたいですね(現代はどうか分かりませんが・・・)
 
 ミス・マープルは町の牧師館に泊まり込み(名付け子がこの町の牧師様と結婚していて、例の殺人パーティーにも招待されているご縁で)、事件のあったお屋敷の女主人、ミス・ブラックロックやその他の住人、パーティーに集まった人達と近づきになって話をして、相手の深層心理に深く分け入っていきます。
 
 この殺人事件はただの?遺産目当てとかではなく、一人の弱い人間が保身から犯した悲しい事件であることをマープルさんは突き止めるのですが、その動機や罪のない人を手にかけてしまう犯人への同情も見せています。
  
 これまで、どんな相手であれ、殺人者にはいっさい憐憫の情を見せないマープルさんには珍しいことです。
 ほんの少し運命が違ったら、自分も同じような犯罪をするかもしれない人間のもろさをマープルさんは知っているからかも知れません・・・
 

 

真冬はこの1着でOK!防寒の強い味方/ワークマン/AERO STRETCH ULTIMATE(エアロストレッチアルティメット)フーデッドパーカー

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AERO STRETCH ULTIMATE(エアロストレッチアルティメット)フーデッドパーカー

 

本日は防寒、コートについておすすめの商品を。

 

WORKMANの防寒着ブルゾンです。

ここ数年、WORKMANの商品はとても評価されて人気も高くて。私も以前にテレビで紹介されているのを見て、新しい冬用のコートがほしかったので探してみました。

 

WORKMANはもともと、外で作業する人、働く人のための商品を扱っていて、防寒、防水に優れた上着や作業着があった訳ですが。キャンプやハイキングといったアウトドア向けの防寒着を作ったり、街中でも着やすいお洒落なデザインを取り入れたりと開発を重ねて今や大人気ブランドになりましたね。

 

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本当は「防寒裏アルミコート」が欲しくて店舗へ行ったのですが、残念ながら見つからず、あれこれ探してこちら(フーデッドパーカー)にしたのですが・・・

 

控えめに言って大正解でした♬

 

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背面はこんな感じ

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LLサイズで、肩から裾まで約70㎝でした

 

こちらも、中にアルミプリントの反射材がついています。

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反射性の高いアルミプリント

外を歩いていると体があたたまってくるのですが、この反射材のお陰でそのあたたまった体温が保たれて、寒さを感じないのです!

 

ちょっと天気の良い日とか、日なたを歩いているとそのうち汗ばんできます笑

風も通さないから、本当にありがたいです!!!

 

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防寒に優れているだけでなく、収納力もすごいです。

胸元にひとつ(定期とかおうちのカギをしまっておくと便利かも)

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このポケット、なかなか深いです

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外ポケットは左右にひとつずつ

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外側だけでなく、内側にもあります。

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内側にも大きなポケット部分があります

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メッシュポケットのさらに奥にも・・・

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小さめのペットボトルとか水筒とか入れるためかな?

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反対側にも!

反対側にもあります。

こうなると、あちこちのポケットに小物しまいすぎて、どこに何を入れたか探しまくる・・・という事にもなりそうですねσ(^◇^;)

 

フードもしっかりついていて、雨の時は助かるなと思うのですが、使わない時は首まわりがゴワゴワする?かと懸念していたのですが・・・

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これ!後ろにボタンで留めることが出来るんです!

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フードを留めて固定することで首元すっきりします

いろいろと細かいところまで気配りが行き届いている優れものですね♬

 

…と言うわけで、この多収納を活かしてちょっとしたお散歩スタイルを決めたいと思います。

 

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これら全てポケットにしまいます

ミニ財布、スマホ、ハンカチ、ウェットティッシュ、ポーチ付きティッシュ入れ、文庫本・・・これを全部、ポケットにしまいます。

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スマホは外ポケットに入れました(反対側にはICカードと家のカギを)

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内側にこれだけしまって着用してみるとこんな感じです。

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・・・ちょっと、見えづらくてすみませんm(_ _)m

でも内側に小物をあれこれ入れているとは、ぱっと見わからないくらい、スッキリして見えますよね♬

持ち物を厳選したからとは思いますが・・・

 

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これなら近所にちょっと買い物とか、散歩するに充分です!

 

あ、着丈はLLサイズで約70㎝ですが、167㎝の私が着用してぎりぎりお尻が隠れるくらいの長さです。

 

LLはでかすぎるかなー?と思ったのですが、着慣れてみると別に不便なこともなく、とっても快適です♬

 

これでお値段が3,900円なんて、まじ最強すぎます・・・

雪でも風でも、これがあれば何とかなる、ほんとにおすすめです!!

 

 

https://workman.jp/shop/g/g2300036265014/

人工的な明かりに揺れる不安・・・アガサ・クリスティ「蒼ざめた馬」※ネタバレなし

今日もアガサ・クリスティの作品について語ります。

 

「蒼ざめた馬」

 
主人公はロンドンに住む若き歴史学者・マーク・イースターブルック。
学問と研究の論文執筆に励みながら、自分にふさわしい(見た目、教養や育ちといった意味で釣り合っている)ガールフレンドとデートもする、いたって普通の青年です。
 
ある夜、1人の神父が霧のたちこめるロンドンで撲殺される事件が起こります。被害者は靴の中に手書きのメモを残しており、そこには複数の人の名前が書いてありました。しかも、そのメモに残された名前のうち、数人は既に亡くなっていたのです。
 
その謎めいたメモに興味を抱くマーク・・・実は、彼の親戚にあたる老婦人の名前もそこに書かれており、既に死亡していたからなのです。
 
 彼は独自の調査に乗り出し、やがて奇妙な噂を耳にします。それはある田舎町の古ぼけた館「蒼ざめた馬」に住む三人の老嬢が、「魔法」をかけて人間を呪い殺しているというもの。
 
「死んで欲しい人が居るなら、蒼ざめた馬へ行けばいい」という合い言葉がまことしやかないささやかれているというのです。
 
 この現代にそんな黒魔術的なことが存在するはずがないと半信半疑ながら、マークは真相を突き止めるため「蒼ざめた馬」へ行き、三人の老嬢と対峙するのでした。そして事件は思わぬ展開を見せます。
 
 本作はミス・マープルもエルキュール・ポワロも出てきません。ごく普通の青年が日常生活の中で事件に巻き込まれていくお話です。
 
 しかし、知的好奇心にあふれ、自ら事件に関わっていくところはミス・マープルと似ていますね(ポワロは探偵業なので、向こうから事件が舞い込んできますが)。
 
 本作はお馴染みのキャラクターがいない代わりに魅力的で興味深い人物がたくさん登場します。
 
 主人公マークの友人に、ポワロの「ひらいたトランプ」で登場した女性推理小説家のオリヴァ夫人が出てきますし、 マークの従姉妹としてローダ・デスパード夫人とその夫のデスパード少佐が登場します。この二人も「ひらいたトランプ」に登場し、作中で結ばれたカップルなのです!!
 
 読んでいて、「あ”ー!オリヴァ夫人!!」とか「ローダじゃん!」とか思ってしまうクリスティヲタク笑
 
 もちろん興味深い登場人物はまだまだいます。「蒼ざめた馬」の住人である三人の老嬢(サーザ・グレイ、シビル、料理人で女中のベラ)・・・しかし三人とも「いかにも怪しい」といった雰囲気はなく、サーザは見た目いたってまともで教養もある女性として描かれています。シビルは東洋かぶれのきらいはありますが、でも無害そうな人だし、ベラは年老いてはいますが有能な料理人です。
 
 マークは三人が魔法だの呪いだの使うことを信じられないまま、ローダの友人であるジンジャ(というニックネームの女性)の協力を得て、彼女の身に実際に「呪い」をかけるというぶっ飛んだ作戦に出ます。
 ・・・ところが本当に呪いが効いて???それまで健康体だったジンジャに病気の兆候が現れたもんだから慌てふためき、パニックに陥るマーク。
 そこへ、オリヴァ夫人がある助言をすることで事件は解決へ向かいます。
 
 割と最後までハラハラドキドキしながら読み進めました。
 
 クリスティの物語の舞台は、現代のロンドンではありますが、2000年代ではなく、1900年代の、日本で例えるなら「昭和」の時代。
 
 電気もガスあって自動車や飛行機、列車もあります。もう「魔法」だの「呪術」なんて超自然的なものは小説の中の出来事、迷信ごととしてうち捨てられている訳です。
 
 そんな中、呪文で人を殺すなんて誰もにわかには信じてくれない・・・今回はそれをうまく利用した犯罪が描かれています。 

 

大胆不敵な犯罪に挑む灰色の脳細胞/アガサ・クリスティ「ひらいたトランプ」※ネタバレなし

今日は、アガサクリスティー「ひらいたトランプ」について語ります。

 

 

ずっと「ミス・マープル」シリーズについて書いてきましたが、今回はミス・マープルと人気を二分するもう1人の名探偵、エルキュール・ポワロのお話です。

 

 場所はロンドン。ごく少数のゲストだけを招いた小さなパーティーの席上、ホストである社交界で悪名高いシャイタナ氏が刺殺されます。それも、同じ部屋で四人の人間がブリッジに興じている間に刺殺されるという大胆な犯行でした。

 

 そのパーティーに招待されていたのがベルギーから亡命した名探偵、エルキュール・ポワロ。

 

 彼は自分の目の前で殺人が起こったことに憤り、調査に乗り出します。

 

 ポワロは、シャイタナ氏から問題のパーティーに誘われた際、気になることを聞いていたのです。

 

 それは、「過去に殺人を犯しながら、まんまと逃げおおせた人物を招待しますよ」とシャイタナ氏が、明るみになっていない殺人犯人を知っていると匂わせていたことでした。

 

 パーティーに招待されていたのは、ポワロの他に有名な女性推理小説家オリヴァー夫人、裕福で気高い雰囲気をもつ年老いた未亡人のロリマー夫人、諜報局員のレイス大佐、冒険家のデスパード少佐、年若いミス・メレディス、抜け目のないドクター・ロバーツ、そして警察官であるバトル警視。

 

 シャイタナ氏と同じ部屋でブリッジをやっていた、ドクター・ロバーツ 、デスパード少佐、ミス・メレディス、ロリマー夫人の四人が、とりあえず容疑者として取り調べを受けることになりました。

 

 ポワロは独自の調査方法を用いて四人の容疑者に近づきます。問題のブリッジはどのように進行していったのか? 誰が一番ゲームに強いか?

 それと殺人とどんな関係があるのか疑問を抱きながら、四人はそれぞれ供述を始めます。しかし、ポワロの真の狙いはブリッジの勝敗などではなく、ゲームを通じて現れる容疑者たちの人間性、性質を深く掘り下げることなのでした。

 

 ポワロの聞き込みと、バトル軽視の調査が進むうち、四人の過去がだんだん明らかになっていきます。シャイタナが言ったように、このうちの誰かが過去に殺人を犯し、そのためにシャイタナは殺されることになったのか? それはいった誰なのか?

 

 物語は終盤に急展開を迎え、意外な人物が真犯人として名指しされるのでした。

 

 本作は、まずブリッジというカードゲームが大きなカギを握っているので、このゲームを知っていないと「ちょっとよく分からない・・・」という箇所がいくつか出てきます。

 ルールとか、点数のつけ方とか。カードゲーム中にどうやって席を外して人を刺したりできるのか?

 

 作中に簡単な説明ももちろんありますし、知らないから「この話、つまんなーーーい」なんて事はありませんので、ご安心ください。私もブリッジなんて聞いたことはあるけどやったことないし(トランプなんてババ抜きとか七並べくらいしかやったことないです・・・)、それでも充分、引き込まれました!

 

 ポワロは、ミス・マープルとよく比較されますが、ミス・マープルと比べると何もかも正反対というか(まあ性別もまず違いますけどね)。

 

 ミス・マープルが謙虚でおとなしい性格なのに対して、不遜なほど自信家だったり(失敗ということは、このポワロに限ってありません。この灰色の脳細胞がすべてを解き明かします、とか言うし)

 ロンドンの洒落たマンションで暮らして、外国へもよく行くし。神経質で潔癖症なところがあり、自身のチョビ髭に異常なこだわりを持って手入れするし。

 

 要するに何かと鼻につくのですが、そんなクセの強いところもポワロの魅力。彼の風変わりな聞き込みに、人はまんまと騙されて口を開いてしまうのです(若い子には、あのおじいちゃん、本当に名探偵なの?もうヨボヨボじゃないなんて散々な言われようなのです)。

 

 カードゲームの最中に人を殺すなんて大胆不敵な犯罪に、ポワロがどう挑み真相を掴んでいくのか。意外な真犯人、結末にも目が離せない、大注目の一冊です。

 

のどかな田舎町にうごめく殺意・・・アガサ・クリスティ「牧師館の殺人」※ネタバレなし

今日はアガサ・クリスティ

「牧師館の殺人」について語ります。

 

 

クリスティの大人気キャラクター、ミス・マープルの長編初登場の作品としても人気の高い本作。ロンドン郊外の小さな田舎町セント・メアリ・ミードの、場所もあろうに牧師館で殺人が起こります。

 

被害者は、横暴で独善的な町の老判事プロズロウ大佐。

 

容疑者は彼の実の娘、若い後妻、その愛人、町へやって来たばかりの謎めいた美しい夫人、また彼をよく思わない人達・・・と枚挙にいとまがありません。

 

そんな中、意外な人物が警察に自首をしたことで、事件はあっけなく幕を閉じるかに見えましたが・・・我らがミス・マープルの目は誤魔化されず、クレメント牧師(事件のあった牧師館の主で町の牧師様)と共に事件解決のために奔走します。

 

ミス・マープルって物語の中で、事件について語る時によく「私が若い娘だった頃は」とか、自身の経験を踏まえて話すことが多くて。

「私の住んでおります、セント・メアリ・ミードでは・・・」って枕詞みたいに使ったりするのです。それくらい、彼女とセント・メアリ・ミードって切り離せない深い関係(居住しているんだから当然ですが)にあります。

 

その噂の? セント・メアリ・ミードが舞台なので、わくわくして読み進めるのですが、事件が起こった時、牧師館て場所はまあともかく、

 

 

よくこんな田舎で殺人やったな

 

と思いました。

 

サスペンスドラマのクライマックスでよくある「犯人と崖の上で対峙する」シーンを観ても思いますが、

「崖の上とか呼ばれたって普通行かねーよ」みたいなものですよね(????)

 

令和になった現代こそ「プライバシーの尊重」「個人情報保護」「不干渉」が重視されていますが、古き良き時代の英国のセント・メアリ・ミードにそんなワードは存在しません。

 

本作の語り手でもあるクレメント牧師が、穿鑿好きなオールド・ミス達にうんざりして、

「この村ではみんないったいどうやってご飯を食べているんだろうね? きっと窓辺に立ったまま食事をしているに違いない。通りで起こることを何ひとつ見逃さないために」

なんてぼやぼやくシーンがあるくらい、住民のささいな行動がすべて筒抜け。何でもすぐ噂になってしまいます。

 

そんな町で殺人を犯すわけですから。犯人の肝っ玉はすごいもんです。

当然、口さがない老婦人たち(ミスもミセスも関係なく)はあれこれ噂を立て、どこまで信じてよいのか分からない情報を警察に提供し始めます。

 

ミス・マープルは「ゴシップにこそ真実が隠れているもの」と、自身も町の噂に耳を傾け、おしゃべりをし、その実じっくりと真相に近づきます。

 序盤に出てくる小さな謎や伏線の回収が鮮やかなのもクリスティ作品の魅力だと思っているのですが、事件解決後、「あー、そういうことだったんだ!」と分かりやすく解決していくのも面白い。

 

 心ならずも殺人事件に巻き込まれくたくたのクレメント牧師のもとへ、事件後にある幸運がやって来ます。彼の妻は「ぜったいに秘密にしてね!」と念を押すのですが、当然?ミス・マープルは一目で見抜いています。それが何かは本作を読んでのお楽しみにしていただきたいのですが・・・クレメント牧師がいみじくも言ったとおり、

「暇を持て余しているオールド・ミスに匹敵するような探偵は、イギリスにはいない」のです。